案の定、母親にはこってりと絞られた。 気持ちが落ちるようなヒステリーだったが、無視されるよりはマシだと自分に言い聞かせて乗りきった。 「タクオは無事に帰れただろうか。」 そのことが気になった。 子供ではないし、旅慣れているから大丈夫だと理解していても気になる。 タクオの電話番号は覚えている。 連絡... 続きをみる
卒業のブログ記事
卒業(ムラゴンブログ全体)-
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夜行バスはすごく狭かった。 でも、その狭さが私達にはありがたかった。手を繋いで寄り添うように小さくなってウトウトと眠った。 5時半過ぎに岡山についた。 ここでタクオは新幹線で東京に向かって帰り、私は実家に向かう電車に乗る約束だった。 実家のある町まで送ると言ってくれたけれど、離れられなくなりそうで... 続きをみる
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私は困った顔をしていたと思う。 タクオは涼しい顔をして隣に座ると私のスーツケースを自分の膝の間に引き寄せて、私の手に自分の手を重ねた。 手を繋いで電車に乗り込んだ。 流れて行く外の景色を黙って見ていた。 私は幸せだった。 今出来る精一杯のことをしてくれることが嬉しかった。 新幹線で帰るつもりだった... 続きをみる
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濡れた私のお腹と内腿等をティッシュで拭き取ると腕枕をしてくれた。 タクオの身体に自分の身体を寄せて胸に顔を埋めた。 泣きたくないのに、涙が止まらなくなる。 タクオを困らせたくはなかった。 「愛してる。」 タクオは私の髪にキスをしながら、何度も言ってくれた。 顔を上げて唇を重ねると指で涙を拭ってくれ... 続きをみる
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タクオがバイトに行っている間にご飯を炊いて、ハンバーグを作る。 お豆腐のすまし汁とサラダも作った。 「いい匂いがする。お腹へった。」 帰ってくるとタクオは言った。 ************************************** 「美味しい。」 タクオは何回も言いながら、ハンバーグを食... 続きをみる
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目覚ましの音で目が覚めた。 ズルズルとベッドから抜けると、湯船にお湯を張る。 裸になると髪と身体を洗う。 そのまま、お風呂掃除をした。 ゆっくりと湯船に浸かる。 このお風呂も最後だと思うと淋しい気持ちになった。 タクオは大丈夫だったのだろうか。 考えないようにしていても、不安な気持ちが付きまとう。... 続きをみる
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タクオが何を考えているのか分からなかった。 「私、生理中やし。だから無理やねん。」 そう言うと 「汚れても、大丈夫。」 とジャスミンはニッコリ笑う。 「私、ルルが男の人とするとどんなだか見てみたいの。傷ついたりしないから、して見せて。」 タクオが私の腕を掴んで 「シャワー借りていい?」 と言う。 ... 続きをみる
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結局、我慢出来なくなって私達はセックスした。 キスしながら、湯船にお湯を張る。 シャワーで浴室を温めた。 お互いの身体を確認するようにまさぐり、舌を這わせた。 昨日よりも経血は少なかった。 私の生理は2~3日で終わる。 早く終わればいいのに・・・そう思った。 浴室の鏡の前に立たされ、セックス中の自... 続きをみる
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タクオに髪の毛を乾かして貰う。 手ぐしで優しく髪を鋤きながら風を当てて、丁寧に乾かしてくれる。 気持ちよくて眠くなる。 乾かし終わると、お礼にミルクティを作る。 牛乳の中にティーバッグを入れて火にかける。ゆっくりと煮出す。 使いきりたかった蜂蜜を垂らして入れる。 紅茶の香りと蜂蜜の甘い香りが部屋に... 続きをみる
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自分の部屋に帰ると部屋の前でタクオが待っていた。 「いつから待ってたの?」 「さっきだよ。」 と答える。 私達はお互いに合鍵を渡していない。 手に触れると冷たかった。 渡しておけば良かったと少し後悔した。 「あの匂いがする。」 私を抱き締めてタクオが言った。 私はどうやらセックスすると体臭が甘い香... 続きをみる
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私の涙をジャスミンのキスが吸いとっていく。 唇が重なる。舌の力を抜いて私の唇の形に沿ってなぞる。 「泣かないで。」 そう囁くと優しく髪を撫でてくれた。 首筋を往復する彼女の舌と唇が下へと向かう。 ボタンダウンのシャツを脱がせにかかったジャスミンを手のひらで制止する。 身体にタクオがつけたキスマーク... 続きをみる
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二人で内湯の檜風呂に入った。 すごくいい香りがする。 髪と身体を洗って、ゆっくりと湯船に浸かる。 明るい所で裸になることにいつの間にか慣れていた。 あんなに恥ずかしいと思っていた自分のアソコを脚を開いて見せることにも慣れてきた。恥ずかしさがないと言ったら嘘になる。 知らない人に対してそれを「やれ」... 続きをみる
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卒業旅行の為に、下見して決めていたスーツケースを買った。 私はシルバーを、ジャスミンはショッキングピンクで色違いのお揃いにした。 ウキウキしていた。 明日の為にそれぞれの部屋で荷造りをしてから、ジャスミンの部屋に泊まる約束をして別れた。 部屋に帰るとすぐに電話が鳴った。 ジャスミンだった。 「ごめ... 続きをみる
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卒業式は袴を履いた。 乳白色に鮮やかな赤を組み合わせた古典柄の着物に茄子紺の袴を合わせた。 ジャスミンは鮮やかなグリーンの振り袖に濃紺の袴だった。 成績優秀者の竹下君が代表挨拶をし、ジャスミンが目録を読んだ。 粛々と滞りなく、式は修了した。 謝恩会も思っていたよりも盛り上がって、良い会になった。 ... 続きをみる
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私がジャスミンを失いたくない理由は彼女程、自分を必要としてくれる友達が今まで居なかったからかもしれない。 私の母は私のことを自分の所有物のように思っている人だ。 中学・高校時代、休みの日に友達と遊びたいと言っても許してはくれなかった。 「休みの日は家の手伝いをするものだ。」 と言って、外出は厳禁だ... 続きをみる
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