二十歳 ジャスミンとタクオ(39)
部屋に戻るとタクオからの留守電が3回入っていた。
ちょっと迷ったけれど、掛け直すとすぐに出た。
「何かあった?」
開口一番そう聞かれた。
心配してくれていたのだろう。
経緯を簡単に話して、電話を切った。
今回タクオが来てなかったのは、家庭教師のバイトがあったからだ。
受験シーズンに突入し、デリケートな期間になる。
時間延長や補充的なことが増えていた。
シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。
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朝はすぐにやって来た。
ジャスミンから電話が来て、お詫びにランチをご馳走してくれると言う。
タクオと行ったグラタンのお店で待ち合わせた。
席に着くと
「ホントにごめんなさい。」
とジャスミンは謝った。
私がもっと自分を大切にして欲しいと伝えると、分かったと笑った。
ミートソースのグラタンと牡蠣のグラタンをシェアする。
反省しているのか、彼女にいつものような元気がない。
「ねぇ、ルル。タクオと付き合ってるの?」
突然だった。
いや、多分ジャスミンはタイミングを見計らっていたのだろう。
「なんで?」
そう返すのが精一杯だった。
「んーっ。年末にルルと同じアパートの子から聞いたの。タクオがルルの部屋に夜遅くに来てるって。」
私は黙ってしまった。
返事を探していた。
でも、こうなった以上嘘はつきたくなかった。
「ごめん。付き合ってる。」
少し悲しそうな顔をしたジャスミンを見る。
「そっかぁ。いつから?」
「夏からかな。」
「ふーん。何で話してくれなかったの?」
「傷つけたくなかったし、最初はホントに身体の関係だけだったから。」
「私だけじゃ物足りなかった?」
「・・・そんなことない。」
「好きなの?」
「うん。多分。」
沈黙が続く。
私はジャスミンを正面から見れなかった。
「ねぇ。卒業するまでは私と付き合って。別れたくない。私はルルのこと愛してる。だから、あと少し一緒にいてよ。」
ジャスミンは泣いていた。
節操なくセックスしてたのは私のせいか・・・
私は
「勿論だよ。」
と答えた。