Bluebird~恋と愛のちがいについて~

自分の恋愛やセックスを振り返って整理していこうと思います♡

二十二歳 志賀さん(23)

志賀さんはお母様が通っているという美容室に私を連れていった。

髪を夜会巻きにしてお化粧してもらう。


その間に志賀さんはホテルを予約し、誰かに電話を掛けていた。

本当に行き当たりバッタリの旅だ。

何処に行くつもりなのだろうか。

不安になる。





私が着ていたタンクワンピースには、髪型もお化粧もゴージャスすぎた。






R「なんか・・・変よね?」



S「そんなことないで。」



R「いや、ちぐはぐ。」



S「ホテルで着替えたらえぇやん。」




そう言って彼は笑った。






ホテルはリッツ・カールトンだった。

それもジュニアスィートで、私は目を丸くした。


汗を流す為にシャワーを浴びた。

志賀さんは煙草を吸っていた。

私と居る時はほとんど吸わなくなっていたから、珍しかった。



着替えに入る。

そこでニプレスが無いことに気づいた。




R「ニプレスがない。」




S「ドレープで分からへんって。要らんよ。」




R「でも、気持ちの問題。」




S「ルルは乳首が小さいから、絶対大丈夫やって。」




言いくるめられる。

志賀さんはさっき買ったネイビーのスーツを着ていた。

靴は車のトランクから出して来た赤茶の紐靴だった。






S「大学生の時に俺がバイトしていたフレンチレストランに行こう。」




R「ドレスを着て?」




S「そういう店やから。オーナーにも紹介するわ。俺の従姉やねん。」




R「こんな半乳丸出しの格好で従姉に紹介されるの?それにこんなに高いヒール初めてやし。ちゃんと歩けない・・・」





私は真面目に聞いてしまった。

志賀さんはそれを聞いて大笑いしていた。





「大丈夫やって。めっちゃ似合ってる。」





すごく緊張していた。

ノーブラで外に出るのは小学生以来だった。



ホテルからタクシーに乗り込むまでの時間で、動物園のパンダの気持ちが理解出来た気がした。

スレ違う人達全員が志賀さんと私を見て振り返る。

余りのことに志賀さんのジャケットを借りてしまうくらい、恥ずかしかった。





「堂々としてなきゃ、逆に変だよ。」





ニヤニヤしながら、意地悪な言葉を囁いてくる彼を私は睨んだ。




タクシーに乗って割とすぐにお店に着いた。

お店は素敵だった。

白い大理石のような床に黒い椅子がくっきりと映える店内にはシャンデリアが輝いていた。

既に3組食事をしているカップルがいらっしゃった。

みんな女性はドレスだった。



パンプスの底の革が滑らないかとヒヤヒヤしながら、ゆっくりと歩く。





「重心を後ろに置いたら安定すんで。」






後ろから言われて振り向くと、白のワンピースに黒のジャケットを羽織った綺麗な人が立っていた。

抜けるように肌が白い。ハーフのようだ。

丸顔でホリが深くとにかく整った顔立ちをしていてショートボブがよく似合っていた。





「圭ちゃん、久しぶりやな。元気やったん?可愛い子連れて来てくれて嬉しいわ。」




その人が志賀さんに笑い掛ける。




「元気やで。紹介するわ。安藤ルルさん。結婚したいと思ってんねん。」






私は軽く頭を下げた。

彼は私を見て





「俺の従姉の志賀朱莉(あかり)。この店のオーナーや。」





と紹介してくれた。

朱莉さんは私をハグしてくれた。

懐かしい。

ジャスミンと同じ匂いがした。






瀬戸内の魚介を使っているという料理はどれも繊細で美味しかったし、ワインもペアリングで出して下さってすごく楽しめた。





非日常的な空間に身を置いて、お酒の力を借りることで朝の憂鬱な気分も「何とかなる。」と思えるようになっていた。



食事を終えて、朱莉さんがサービスで出してくれた桃のお酒を頂いた。

桃の果実をそのまま擂り潰したようなフレッシュさに感動してしまった。

シャンパングラスで3杯も飲んでしまった私を、志賀さんが楽しげに見ていた。




「帰ろうか。」




会計を済ませた彼に言われて立ち上がろうとした時に、私は焦ってしまう。



脚の感覚がない・・・



立ち上がろうとして踏ん張るのに、全く脚が立たなかった。


私は志賀さんを手招きして呼んだ。





「立てない。」





私が言うと、驚いた顔をしていた。

呂律も怪しくなっている。

私がお酒に強いことは彼も知っていた。




「酔うほど呑んでないよな。大丈夫か?」




そんな会話を交わしていると、朱莉さんが





「2階の喫茶で休んで行けば?」





と声を掛けてくれた。



一瞬、志賀さんが躊躇したのが分かった。

私から離れて朱莉さんと話している。

戻ってくると私を横抱きで抱えてエレベーターで2階に向かった。






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