二十歳 ジャスミンとタクオ④
びっくりしたけれど、不思議なくらい二人に対する感情やスタンス的なものが変わらなかった。
ジャスミンからヤラれちゃうとか、食われちゃうとかw
そんな不安も心配もなかった。
ジャスミンとは四六時中一緒にいたし。
彼女は私が嫌がることを、今更するような人じゃない。
タクオはタクオで小さい紳士だし。
この二人に身の危険を感じろって方が無理だ。
で、私。
二人に言われて、ベクトルを自分に向けて考えてみたワケ。
「あっ、私女子ともヤレるわ。」
速攻で結論でちゃったわ。
好きになっちゃうこともあるかもしれない。
今まで考えたこともなく、選択肢に入ってなかったけど。
意識したら、ないとは言えない。
同性愛者をすんなり受け入れている自分がいた。
大体、男と女しかこの世にはいない。
異性を好きになる選択しかないこと自体が不自然だ。
そんなふうに思っていたら。
「で?ルルは私のことどう?」
とジャスミン。
タクオは笑い転げている。
ジャスミン、酔ってるよね?
「好きやで。」
と、私。(←酔うと標準語が喋れない)
「いや、そんなことは分かってる。それはlikeでしょ?じゃなくて、恋愛対象としてどうか?って聞いてんじゃん。LOVEだよ?LOVE‼」
完全に酔っぱらいやん。
「恋愛対象として見たことないわ。」
マジで。
ホントにそんな目で見たことなかった。
でも、そんな目で見たらさ。
そこに一番近い女子は間違いなく彼女だ。
「えぇーっ、恋愛対象として見てよーっ。見て欲しい。今、ルルのことを一番愛してるのは間違いなく私よ。敬なんかとキスするくらいなら、私とすればいいじゃん。」
笑ってしまった。
「ルル。ジャスミンと付き合う気あるの?」
タクオが言う。
「んー。分からん。そういう意味でジャスミンのことを気にしたことないし。気にしてみてLOVEになるかもしれんし。ならんかもしれんし。」
「シロさんのことは?まだ好きなんじゃないの?」
「それは好き。間違いなく。でも、もう終わったわ。元に戻ることはないと思ってるんよ。」
正直な気持ちだった。
「ふーん。」
意味ありげな目でタクオが私を見て笑った。