Bluebird~恋と愛のちがいについて~

自分の恋愛やセックスを振り返って整理していこうと思います♡

二十一歳 志賀さん(10)

志賀さんが目を覚ましたのは21時過ぎだった。

門限を過ぎてしまったが、言い訳は考えていた。

熱を計ると38.5度まで下がっていた。


スエットと下着を脱がして着替えさせた。

身体はまだまだ熱かった。




「合鍵があったら貸して」




とお願いした。


明日出勤前に寄ることを伝えると嬉しそうだった。


頬にキスをして、部屋の灯りを間接照明に切り替えて私は部屋を出た。





「現金が合わなかった。」





と母親には嘘をついた。




「まだ原因が見つかってないから、明日は早朝から出る」





と嘘を重ねた。



泊まってあげられなかったことを悔やんでいた。

あれだけ熱が出ていたら、心細いだろう。

そう思った。










私は5時に家を出た。

5時20分に志賀さんの部屋に着いた。

出来るだけ静かに鍵を開ける。

ソッとベッドの横に座って額に触れると、志賀さんは目を覚ました。




「おはよう。」




声を掛けると頷いて、また目を閉じた。

また熱が上がっているようだった。

実家から持ってきたアイスノンを出して新しく変える。

冷えたポカリスエットをコップに注いだけれど、ストローが見当たらなかった。




「ポカリ飲める?」





声を掛けても、朦朧としているのか返事が曖昧だった。

仕方なく口移しで飲ませた。

体温計を脇に挟んで計る。

40度ジャストだった。

救急車を呼ぶか迷う。




とりあえず、解熱剤を飲ませて七時まで様子をみることにした。





溜まっていた洗濯物を色別して洗う。

卵雑炊を作る為に野菜を細かく刻んだ。

目を覚ましたら作ってあげる為に野菜を冷蔵庫に入れて、お米をといだ。


汗をかき始めたのを確認して少しホッとする。手を握られて握り返すと寝息が規則正しく聞こえ始めた。


唇が乾いて荒れているのをソッと撫でた。

無精髭でいつもより少しワイルドに見える。

頬に手を当てる。



ふと思った。



私は志賀さんの事が好きなのだろうか。



前に助けて貰ったから?

それとも、必要とされることを嬉しく思っているだけ?


でも、今まで男の人の為に何かをしてあげたいと思ったのはシロさんとタクオに対してだけだった。

志賀さんに対する気持ちはそれとは違うのだろうか。

分からなかった。




タオルで汗を拭いてあげながら、そんなことを考えていた。

熱を計ると39度まで下がっていた。




7時半になったのを確認して私は仕事場に電話を掛けた。




「熱が出たので休む。」




と伝えた。


嘘ばかりついている自分に呆れてしまう。

でも、本当のことは言えないし、仕事を休む理由には出来ないことだった。



洗濯機を三回回して、ベランダに洗濯物を干した。

干している間、部屋を換気した。

志賀さんが目を覚ましたら枕カバーとシーツも替えてあげたかった。





ふと写真のミー子と目が合った。

グラスのお水を新しく替えた。




8時を回った頃に彼が目を覚ました。



「自分、仕事は?」



と聞いて来た。



「休んだ。」



そう言うと志賀さんは驚いて起き上がった。



S「何で?」




R「何で?って、熱が高すぎて置いて行って死なれたらイヤやし・・・寝てて。何か食べる?」




S「優しいのか優しくないのか分からへん言い方やな。」




R「玉子粥かヨーグルト、みかんのゼリーに桃缶、どれにする?」




S「みかんのゼリー。」




R「そんな気がした。」




私が真顔で言うと志賀さんは笑っていた。



よく冷えたみかんゼリーを彼はペロリと食べた。

そして残りの桃缶も食べて満足そうだった。




パジャマを脱がせて、着替えさせようとしたけれど着替えがないと言う。

仕方なくTシャツに短パンを履いて貰うことにした。

シーツと枕カバーも替えた。

洗濯機をまた回す。



手持ち無沙汰になった私は読みかけの小説を読むつもりでソファーに移動した。


志賀さんが私を手招きで呼ぶ。



「一緒に寝よう。」



と言われてクッションを抱えて隣に入る。

壁に凭れるようにして私が座ると太股に抱きついて来た。




「冷たくて気持ちいい」




そう言いながら、彼はまた眠ってしまった。


お昼前に目を覚ました志賀さんの熱を計ると38度だった。

40度あった熱が2度下がると人はこんなに元気になるんだ・・・と思うくらい普通に元気だった。


玉子粥を作るつもりが、ガッツリ食べたいと言う彼のリクエストで煮込みうどんになった。


私もお腹が空いていた。




「料理出来るんや。」




志賀さんはまた私に言った。




R「一人暮らししてたのに、料理出来なかったら困るやろ?」




S「コンビニあるやん。」




R「毎日あれ食べるのはキツイ。お茶漬けの方がまし。」




S「そうなん?」




R「うん。」




そんな会話をしながら作った。


消化に時間が掛からないようにうどんを柔らかく煮込む。


志賀さんは5分もかからずに平らげた。

ヨーグルトを食べながら、うどんを啜る私を見ている。

視線に耐えられず




「まだ食べたいの?」




と聞いてみた。



「うん。」




仕方なくどんぶり鉢に入ったうどんを差し出す。

代わりにヨーグルトを受け取った。

病気じゃなければ、こんな甘やかしはしない。

それもあっという間に平らげてしまった。



「めっちゃ旨かった。」



と言ってくれたのが嬉しい。

子供みたいだった。


洗い物をして、乾いている洗濯物を取り込んで畳む。

畳み方を志賀さんに聞いたけれど




「ルルのやり方でえぇよ。」




と言われた。

拘りが強そうなのにそうでもないらしい。



パジャマに着替えて貰う時にホットタオルで身体を拭いてあげた。

股間は自分で拭いて欲しいと言うと、ルルに拭いて欲しいと言って来た。

笑ってしまった。




「変態野郎。」




と呟くと、志賀さんも笑っていた。


途中でコンビニに買い物に行った。

ゼリーとバニラアイス、ポカリを買って戻る。



夕方になると玉子粥を作った。

志賀さんは2杯食べた。

熱がまた上がり始めていてツラそうだった。


解熱剤を飲ませて、汗をかかせてからまた着替えて貰う。


今日はさすがに門限までに帰らなければならない。

仕事前に寄ることを約束して、私は部屋を出た。





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