Bluebird~恋と愛のちがいについて~

自分の恋愛やセックスを振り返って整理していこうと思います♡

二十一歳 志賀さん(5)

年が明けても、志賀さんとは相変わらずだった。

志賀さんには、他の人とデートすることを勧めていた。

実際、私の同期の女の子は志賀さんとデートしたがっていた。


誘ってもうまくはぐらかされる・・・と話しているのを聞くと、後ろめたかった。



窓口で話をしている私の背中に集中する視線が痛い・・・志賀さんとの食事会をセッティングして欲しいとのミッションを課せられてもいた。



そんな中、志賀さんに2週間誘われない時期があった。

他に気になる人が出来たのであれば、喜ばしいことだと思っていた。


思っていたら、誘われた。

心なしか、痩せて元気がないような気がしていた。


仕事終わりにホームセンターの大きな駐車場で待ち合わせる

私は志賀さんの車に乗り換えた。

助手席に座って


「元気ないじゃん。」


と言った途端、志賀さんがポロポロと涙を溢した。






慌てた。






何か悪いこと言った?


いや、言ってないぞ?


どうした?


頭の中をクエスチョンが舞う。





「どうしたん?何かあった?」




早口で聞いてしまう。




「いや・・・ごめん・・・猫が・・・」


「猫???」



どうやら、志賀さんが小学生の時から18年間一緒に暮らしていた猫が虹の橋を渡ったらしい。


私は黙ってしまった。


私も犬を飼っている。

今までお別れした子が二人いた。

家族が自分の前から消えてしまう悲しみは理解できた。



かける言葉を失う時ってある。

気持ちが分かるだけに、なんて声を掛けていいのか分からない。



私は志賀さんの手を握った。

黙って、泣き止むのを待った。



泣き止んだ志賀さんに


「今日はホテル行こっか。」


と言った。



彼は驚いた顔で私を見たけれど、黙って頷いてくれた。



志賀さんは喋らなかった。



18年か。

そりゃ、落ち込む。

私は自分が可愛がっていたワンコ達を思い出していた。


私は心の中であれこれ考えていた。



部屋に入り、時計を見た。

18時前だった。

黙って浴槽にお湯を張りに行く。



志賀さんはスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを緩めていた。


私は志賀さんの首に腕を回してキスをした。

フリスクを噛んだのだろう。

ペパーミントの味がする。


キスしながら、ゆっくりと彼のシャツのボタンを外す。

私のワンピースを志賀さんが脱がせてくれた。



ズボンを脱がせて、志賀さんの手を引いて浴室に向かう。

お互い下着を脱いでシャワーを浴びる。

ボディソープで軽く身体を洗って流す。




前にシタ時よりも志賀さんは明らかに痩せていた。



「ご飯、食べれてないの?」


そう聞くと


「食欲なくて。」


と言う。


食事に誘えば良かったと後悔した。




一緒に湯船に浸かる。

丸い浴槽がピンクに光っていた。



私は志賀さんの膝に向かい合って座る。

頬を手のひらで包んで、唇を啄むようなキスを繰り返す。



「志賀さんが死ぬ時に迎えに来てくれるよ。それまで待っていてくれるから、また会えるよ。大丈夫。」



ずっと考えて出した台詞はかなり無責任で陳腐だったけれど、他に言葉が見つからなかった。



「ありがとう。」



と、志賀さんは言った。

でも、やっぱり元気がなかった。



お風呂からあがって、身体を拭く。

そのまま裸でベッドに入ると、私は志賀さんを抱き締めた。



髪の毛にキスしながら、手のひらで背中を撫でる。

志賀さんは私の胸にもたれ掛かるようにしてじっとしていた。



私は"New York State of Mind" を鼻歌で歌っていた。




「それ、誰の曲?」


「ビリー・ジョエル。」


「ふーん。えぇ曲っぽいな。」


「えぇ曲やで。私、めちゃ好き。」





志賀さんがキスして来て、私達はセックスした。

私は志賀さんに優しくしてあげたかったし、彼も私に優しかった。

人肌恋しい時はある。

静かなセックスだった。



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