二十一歳 南口(2)
相変わらずの先輩女子の対応だったが、優しく接してくれるパートさんもいたから何とか頑張れた。
マリさんとマリさんの彼氏のジョウさん。
私の前年に入行した男性行員さんちゃん(彼女なし)
と四人でカラオケに行ったり、食事することが増えていて一人じゃない気持ちにもなってきていた。
そんな中で、7月に支店で食事会があった。
一次会で懐石、二次会はスナックでカラオケのコースで門限10時の私は二次会を途中で抜けた。
食事会は楽しくはなかったが、欠席するのも気が引けて出席するようにしていた。
母親の迎えを待つ為に店の外に出ると、南口が出てきた。
五歳年上でジョウさんと同期だった。
もっと言うと、彼は同い年の女子行員と付き合っていた。
「お疲れ様です。お先に失礼します。」
と挨拶すると、突然
「僕と付き合わない?」
と言ってきた。
「酔ってますか?Y先輩がいるじゃないですか。」
と冗談ぽく言うと
「別れるからさ。ねぇ、付き合ってよ。」
と押してくる。
「私、彼氏いるので。すみません。」
と断った所で母親の車が路地に入ってきた。
「お疲れ様でした。」
そう言って車に乗り込んだ。
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南口は180cmの長身で骨格のしっかりした体つきにソフトな顔立ちのイケメンだった。
同期のジョウさんもチャラさはあるものの根は真面目、社会人野球では名前の知れた存在で端正な見た目だった。
二人でいると当然目立ったし、モテていたようだ。
だが、私は口調に威圧感がある南口が苦手だった。
自分に自信があるのが分かる。
モテることを鼻に掛けているところや、さんちゃんを馬鹿にしたように扱う所も許せなかった。
そんなこんなで私は意識的に南口を避けるようになっていた。
元々あまり接点がなかったので仕事では今まで通りだったが、イベント等では近寄らないように気をつけていた。
しかし、夏祭りの盆踊りに出る人をクジで決めた際に、マリさん、ジョウさん、私の3人に南口が入る結果になってしまった。