二十一歳 南口(10)
電話が鳴る音で目が覚めた。
タクオに声を掛けると、反動をつけて起き上がり電話に出た。
ジャスミンからだった。
時計を見ると22時。
どれくらい眠っていたんだろう。
寝返りをうつと、筋肉痛のような痛さを感じた。
よくよく考えてみると5ヶ月ぶりのセックスだ。
ゆっくりと身体を起こしてショーツを探す。床に落ちたそれに手を伸ばす。
電話を切ったタクオが私の手を取る。
シャワーを浴びようと言われて、私は立ち上がった。
後ろから抱き締められながらシャワーを浴びた。ジャスミンからの電話の話をした。
少し熱めのお湯が気持ち良かった。
湯船に溜まったお湯に入浴剤を入れてくれた。柑橘の香りに気分が上がる。
向き合って湯船に浸かる。
キスの途中、唇横の傷に当たるとまだ痛かった。痛みで顔を引いてしまうと
「ごめん。」
とタクオが慌てる。
私を抱き寄せて
「夢中になっちゃって。」
と柄にもないことを言う。
経験値で言えば、タクオはずっと私よりも上だ。
タクオにはギラギラとした所がない。
食事をするような感じセックスする。
そんな感じだった。
ジャスミンを抱いた時も私を抱く時も、冷静で淡々としていて普段と変わらないと思っていた。
「ルル、自分が男から性的な目で見られる存在だって忘れないで欲しい。」
そんなことを言われ、驚いてタクオを見た。
私の顔を撫でながらタクオが続ける。
「ルルが悪い訳じゃない。男が勝手にそう思うだけだ。でも、自分の身は自分で守らなきゃいけない。自覚して欲しい。」
小さな子に言い聞かせるような話し方だった。
マリさんの言葉を思い出す。
私が先輩女子から嫌われていた理由に私は全く気づいていなかった。
「俺もジャスミンも、ルルの味方だよ。でも傍にいる訳じゃない。」
私は頷いた。
確かに私は無防備過ぎたのかもしれない。
南口のことは避けてはいたけれど、仕事中は大丈夫だと思っていた。
「愛してる。幸せでいて欲しい。」
私はタクオにキスをした。
心配と迷惑を掛けてしまったことを申し訳なく思っていた。
それはジャスミンにも言えることだった。
彼女が機転を利かせてくれなかったら、私は今もトラウマを抱えて苦しんでいたかも知れない。
正直、私はそんなことまで考えてなかった。
ジャスミンの部屋でタクオとした時、タクオ相手にも関わらず私はあまり感じていなかった。
タクオを傷つけたくなくて、少しだけ演技した。多分タクオは気づいていたと思う。
それでも何も言わずにいてくれる。
感謝しかない。
お風呂から出て、二人でうどんを食べた。
キスをしながら、眠りに落ちた。
